07/08/20 (Wed)
超過死亡について — 新型コロナウイルス その8
超過死亡について調べようと思いつつグズグズしているうちに4月の死亡者数が公表され、さも多かったように騒ぎ立てる報道もちらほら。例えば産経新聞は「「超過死亡」コロナ公表人数の12倍」などと言っています。ほんまかいな?と思い、遅ればせながら調べてみることに。

まず、忘れちゃいけないのが日本の高齢化。普通に考えて、人口に占める高齢者の割合が増えていれば死亡者数も増えていくはず。なので死亡者数の推移から見てみます。





何というか、思っていた以上にわかりやすく増えていました。年平均では、全国が1.61%、東京都は1.77%ずつ増加してきた計算です。なので、今年の死亡者数が多少増えていたとしても、それがイコールすべてCOVID-19のせい、と考えるのはおかしいことになります。また、過去数年間の平均と直接比べることも適切ではないでしょう。さかのぼる期間が長ければ長いほど平均は下がっていくのだから。

ここで、過去の推移をもっと詳しく見るために、月間の死亡者数も確認してみます。





これは興味深い…。月ごとに見てもやはり明確に右上がりなんですね。そして、全国の今年4月の死亡者数は過去と比べて突出して増えたようには見えません。むしろ、年平均で増加した場合と比べると1000人余り少なかったです。とはいえ、東京都の4月の増え方は少し大きかったように見えます。実際、年平均ペースよりも549人多く、厚生労働省が公表したCOVID-19の死亡者数の114人を435人上回りました。

では、東京都の月間死亡者数の前年比(2011-2019年の各月で計算。データ数は96)がどのような分布になるのか見てみます。すると、下のチャートが示すように、振れ幅はかなり大きいことがわかりました。

また、データ区間では「-5%超5%以下」が最も多く、全体の67.7%を占めました。つまり、ある月の死亡者数を前年同月と比べたとき、その増減率は大体±5%以内に収まったことが多い、というわけです。一方、分布は上方向に傾いているため、標準偏差は7.13%でした。これに対し、今年4月は前年比で7.32%増でした。



さらに、東京都の4月の人口も調べてみると、下のチャートが示すように、毎年増加していました。となると、死亡者数が増えても単純比較はできないので、10万人あたりの死亡者数を計算すると、今年は72.2人となり、過去10年間で最も多いという結果になりました。ただし、2013年は70.2人、2014年は70.4人で、今年だけが飛び抜けて多いというほどでもありません。



まとめると、「全国レベルでは超過死亡はほとんどない。東京都だけで見ると死亡者数は年平均を上回るペースで増えたが、標準偏差と同程度で、外れ値には程遠い。10万人あたりの死亡者数も増えたが、これも今年だけが突出して大きな数字というほどでもない」といったところでしょうか。これらに基づき、東京都で拾いきれなかったCOVID-19による死亡者数は非常にざっくりですが公表人数のせいぜい2-3倍程度ではないかと思っています。