03/28/11 (Mon)
「いざという時」をどう判断するか
原発関連でさまざまな情報・憶測が飛び交うなか、「どこまで放射線レベルが上がったら行動を起こすべきか」を非常によくまとめてくださっているサイトを見つけたので、リンクを貼っておきます。書かれたのはスウェーデン国立スペース物理研究所(IRF)のシニアサイエンティスト、山内正敏さんです。

放射能漏れに対する個人対策(改版)
http://www.irf.se/~yamau/jpn/1103-radiation.html

最初から最後まですべて重要な情報ですが、ポイントを挙げておきます。

- 行動を必要とする危険値や警戒値を示すことなく「安全です」と言っても、それは情報とは全く言えない。
- さまざまな研究所が上限値を出しているが、これが「総量」であることが問題。
- それに対し、測定値は1時間当たりの数値なので、脱出までのロスタイムも考慮すると危険値は100時間で割るのが妥当。
- ただしその値になってからではパニックになるため、これまでの変動幅を考慮して1割以下の量を基準とするのが妥当。
- 居住地と測定点での放射能値が同じとは限らない。わずか3kmの違いでも5倍以上の差が出ている例もある。
- 問題なのは事故現場からの直接放射ではなく、そこで発生した放射性ダストが移動しながら出す放射線。
- ダストはある高さまで昇ると風に乗り、時速約40kmで移動する。
- この速度だと高濃度の放射性ダストは数時間は拡散せずに放射能を出し続ける。
- よって、一部の人が言っているように距離の逆二乗・逆三乗で減ることはない(真空の場合とは全く異なる)。
- 警報が届くまでに2時間見積もる必要があり、そこから80km圏という数字が簡単に出てくる。
- 問題は風向きが高度によって異なること。
- ダスト雲の行き先や密度を予測するのは天気予報よりもはるかに難しい。
- よって、シミュレーションの試算値に極端にまどわされてはいけない。
- 幸い、文科省の測定結果と米国機の空中測定結果から、ダストが概ね北西の狭い地域に流れていることがわかる。
- 観測データを一番の拠り所とするべき。
- SPEEDIのシミュレーションはむしろ、真っ先に危険になるかもしれない地域を予測するのに役立つ。
- 例えば避難経路を考える際、まず遠くに逃げるのではなく、西に逃げる方が良い、など。
- 原子力安全委員会は地球惑星科学関係者などに応援を頼んでいない。
- シミュレーションと観測データの比較は超高層学会、気象学会、大気化学学会が得意とする分野。
- 特に今の事態では至急、地球大気関係のプロに応援を頼むべき。
- 一方、SPEEDIは実際のデータをシミュレーションに反映させるという点で初心者。
- 文科省の避難・屋内退避の判定基準で「8日という半減期を考慮すると限度内」としているのは解せない。
- そこには、放射線物質が「定常的に」流れ込んでいるという現実に即した発想がない。