04/21/20 (Tue)
タイムラグと大幅な過小評価 — 新型コロナウイルス その4
前回のアップデートで「重要なのは入院患者数と死亡者数」と書きましたが、そのちょうど翌日の4月14日から、厚生労働省は公表した死亡者数に脚注をつけるようになりました。

例えば死亡者数を102人と公表し、脚注で「都道府県から公表された死亡者数の合計は132名であるが、うち30名については個々の陽性者との突合作業中のため、計上するに至っていない」と説明しています。

つまり、厚生労働省の数字にはタイムラグがあることになります。見たいのはリアルタイムの数字なので、両方の数字を示すと下のチャートのようになります。



これを見るとわかるように、死亡者数の増加ペースは前回の「2週間ごとに2倍」から加速し、より実態に近い都道府県の数字で「11日ごとに2倍」になっています。これは11日後には死亡者数が500人近くに達することを示唆しています。

死亡者数が重要な理由は、①死亡率(=死亡者/人口)を下げることが最優先事項であること、②死亡者数は感染者数よりもデータとしての信頼性が高いこと、の2つです。

②は、感染者数が検査数や検査の精度に左右されるのに対して、死亡者数は新型コロナ陽性者だけでなく肺炎で亡くなった場合や死亡後に肺炎が疑われる場合もできる限りPCR検査を行うとされているからです(安倍さんは「必ず」と言っていましたが肺炎で亡くなる人の多さを考えるとそれはあり得ないと思われます)。したがって、死亡者数から逆算した感染者数は公表されている数字よりも相対的に実態に近いと考えられます。

福井県が発表した潜伏期間と入院日数の平均(それぞれ「5.2日」と「15.7日*」)を用いて(*退院するには症状がなくなってから検査で2回陰性となる必要がある)、症状が出てからPCR検査の結果が判明するまでを平均7日間と想定すると(日本では検査に至るまでに時間がかかる)、「感染→発症→PCR検査の結果判明/入院→退院」の平均経過日数は「5.2+7+15.7=27.9≒4週間」と推定されます。

死亡の場合は退院前の検査がないためそれより1週間短い3週間と想定すると、きょうの死亡者は平均で3週間前に感染したと推定され、致死率(=死亡者/感染者)を1%(アメリカ国立アレルギー・感染症研究所所長の Dr. Anthony Fauci が米議会証言で述べた推定値)として逆算すると、推定感染者数は下のチャートのようになります。



これは、厚生労働省が発表している感染者数が推定感染者数の10分の1程度しかないこと、また「推定感染者数/厚生労働省発表の感染者数」の比率が上昇していることから(3月16日:9倍→3月31日:12.5倍)、実際の感染者数の増加に対して検査数の増加が追い付いておらず、その差が拡大している可能性を示唆しています。