05/16/12 (Wed)
被曝リスクにしきい値なし - 放影研
放射線影響研究所のサイトに3月1日付で、「『原爆被爆者の死亡率に関する研究、第14 報、1950-2003、がんおよび非がん疾患の概要」』と題する論文が米国放射線影響学会の公式月刊学術誌(Radiation Research)3月号に掲載されました」というニュースが出ていました。(放射線影響研究所はABCCの後身で、いわゆるICRPの基準はここの研究成果を主要な科学的根拠としています)

驚いたのは、「総固形がん死亡の過剰相対リスクは被曝放射線量に対して全線量域で直線の線量反応関係を示し、閾値は認められず、リスクが有意となる最低線量域は0-0.20Gyであった」と明記されていたことです。ここではGy≒Svと考えていいので、これは「0~200mSvのレンジにおいても、被曝線量と総固形がんの過剰相対リスクは直線の関係にある」ということになります。

ちなみに、Radiation Researchに掲載された英語版では、「a formal dose-threshold analysis indicated no threshold」という書き方をしています。いやはや、こんなにすっきりとしきい値を否定している文章は初めて見ました。(今回は日本人の研究が英訳されているので、日本語を読むだけで十分かとは思いますが、普通は原文を見ないと正確なニュアンスはわかりません)

これまでにも「しきい値なし」を支持する研究結果をいくつか見ましたが(「低線量被曝についての考察」に書いています)、例えば米国科学アカデミーの発表のように、「Low Levels of Ionizing Radiation May Cause Harm」といった書き方にとどめているものばかりでした。

そういう意味でも、また日本の現状を考慮しても、そして何より、これが広島と長崎を60年以上にわたって調査してきた日本の研究結果であるという点でも、このニュースはもっと大々的に取り上げられるべきだと思います。