07/21/12 (Sat)
魅惑のアンティークグラス
美術館で盗み撮り?と思ってしまいそうなきょうの写真。びっくりするほど高価なアンティークグラスが並んでいますが、実はここ、美術館ではありません。私の大好きなバー・ラジオの入り口の戸棚なんです。

数年前に初めてこの店に足を踏み入れた時、伝説のバーテンダー、尾崎氏はこうおっしゃいました。「カクテルに使うグラスはどれも、1つ割れるとその日の売り上げがすべて消えてしまうくらいのお値段です」と。なぜそんな高価なものを惜しげもなく出していらっしゃるのですか?とお聞きすると、静かに一言、「見栄でございます」。

今月に入って2回、久しぶりにうかがったところ、2回とも以前はなかったサービスチャージやおつまみのチャージが勘定に入っていました。あれ?と思ったのですが、先週、若いバーテンダーの方が、カウンターの壁一面にずらっと並べられたグラスについて、「去年の東日本大震災でここにあったグラスがかなり割れてしまい、今は箱にしまっておいたもので補っています」「この(グラスの)景観も料金に入っています」とおっしゃっていたことから推測すると、おそらく地震で被った多額の損失を補うために、やむなく値上げされたのでしょう。

値段を上げてでも見栄を張り続ける。そんな尾崎氏の頑固なまでの美学が、グラスの凜とした輝きから伝わってくるようでした。