10/31/13 (Thu)
若村麻由美・野村萬斎の原典『平家物語』
若村麻由美さんの舞台を初めて観に行きました。何と『平家物語』を原典で演じるという、しかも野村萬斎さんがゲストという、さらに場所が国立能楽堂という、いろんな意味でものすごく貴重な舞台でした。演目は『巴』『小宰相』『千手』の3つ。それぞれ「愛する人のために生き延びる」「愛する人のために死ぬ」「愛する人のために仏門に入る」という全く異なる生き方をした女性たちを描いています。

あまりにも完璧で美しくて繊細で深遠で、幸せのあまりどきどきしながら鑑賞しました。特に最後の『千手』は萬斎さんとの共演で、驚くほどハイレベルで息が詰まりそうなくらい集中して観ました。最後、萬斎さん演じる平重衡がゆっくり去っていくとき、若村さんと距離がとても離れているのに、しかも後ろを振り向いていないのに、まるで2人の体が同じ方向から磁石で吸い寄せられたかのように同じ呼吸でわずかに揺れたところに、今生の別れを惜しむ2人の心が映し出されて鳥肌ものでした。

原典ということで、最初は何を言っているのかよく聞き取れず、始まる直前まで友達としゃべりまくっててパンフレットの解説を1行も読んでいなかったことを後悔したのですが、不思議なことにだんだんわかってくるんですよね。言い回しに慣れてくるというか。ま、2つ目の『小宰相』が始まる前に萬斎さんが出てきていろいろ説明してくださったのも大きかったですが。

原典といえば、3週間前に矢萩春恵展「お・ん・な」という展覧会で目にした「わが背子とふたり見ませば いくばくかこの降る雪のうれしからまし」(万葉集 光明皇后)という和歌の響きに感動し、昔の日本語って美しいなあと思っていたところでした。

では最後に、むか~し暗記したことがあるような気がするけど感動した覚えはない、でも今はとても感動して自然に覚えてしまった平家物語の冒頭部分を。

祗園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり。
娑羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらわす。
おごれる人も久しからず、ただ春の夜の夢のごとし。
たけき者も遂にはほろびぬ、ひとえに風の前の塵に同じ。