11/05/12 (Mon)
米大統領選挙を明日に控えて
11月6日はいよいよ米大統領選挙の一般投票が行われます。今回はいつになく激戦で、どちらが勝ってもおかしくない状況ですが、5日現在の最新情報をまとめてみました。

まず、多くの人が注視しているイントレードでは、現時点でのオバマ大統領の再選の可能性は64.6%となっています。イントレードは、実在のイベントの結果を予測し、売買するオンライン市場です。





例えば、「オバマ大統領は再選する」というイベントについて、再選すると思えば「買い」を入れ、しないと思えば「売り」を出します。実際に再選すれば10ドル、しなければ0ドルで精算されます。下の例で言えば、オバマ再選に賭けて30株を6.53ドルで買った場合、再選すれば(10-6.53)*30=104.10ドルの利益になります。というわけで、ここに出ている結果は、「何となくそう思ったから」という適当な数字ではなく、実際にお金を賭けた真剣な予測を反映しています。





オバマ再選の可能性が64.6%であれば、僅差の戦いではないのでは?という疑問はちょっと置いておいて、次は、イエール大学経済学部のレイ・フェア教授の予測モデルを見てみます。

同モデルは、過去24回の大統領選挙のうち22回を正確に予測したという非常に優れた実績を持ち、主に「景気は拡大しているか?」「インフレ率は低いか?」「過去4年間の経済はどの程度良好だったか?」という3つの経済的問題に基づいています。これらの変数は確定値で固定されるため、数値さえわかれば、答えは出ているのも同じ、ということになります。

例えば今回は、経済成長率に1.03%、インフレ率に1.57%、経済が良好だった四半期数に1を入れて(予測モデルのサイトを開くと、これらの数値はすでに入力されています)サブミットボタンを押すと、オバマ大統領は一般投票で49.05%の票を獲得すると出てきます。ということは、ロムニー候補の得票率は50.95%となり、同モデルは、少なくとも一般投票ではロムニー氏の勝利を予測していることになります。





…が、そうとも言えないようです。というのも、同モデルではこの水準は誤差の範囲だからです。レイ・フェア教授は、2週間ほど前のインタビューでも、「経済はオバマにとって有利でも不利でもない中途半端な水準にある。そのため、予測モデルは誤差の範囲にとどまっている」という内容のことを話しています。(参考リンク: Why Romney will win the popular vote; Two weeks ahead of US elections, Romney, Obama deadlocked

それにしても、先ほどのイントレードの結果とはかなり違います。これは、大統領選挙が「一般投票+選挙人投票」の2段階で行われるためです。一般投票は州ごとに行われ、その結果に応じて各州の選挙人の獲得数が決まります。例えばカリフォルニア州の場合、一般投票で得票数が多かった候補は選挙人55人を獲得します。選挙人は全部で538人なので、過半数の270人以上を獲得した候補が勝者となります。

ただし、メーン州とネブラスカ州を除くすべての州では「総取り方式」(得票数が1票でも多い方がすべての選挙人を獲得する)が採用されているため、総得票数と選挙人獲得数が逆転するケースもまれにあります。2000年の大統領選挙では、総得票数が多かったゴアが、選挙人獲得数で勝ったブッシュに敗北しました。あの時、このシステムおかしくない?と多くの人が思ったにもかかわらず、変更されずに今に至っています。

というわけで、結局のところ、選挙人が多く配分されている州で勝つことが重視されます。下の図は、5日現在の選挙人獲得状況です。実際の一般投票はまだ行われていないため、支持率の開き具合に応じて各州での勝利を「確実」、「おそらく」、「その傾向」、「五分五分」に分け、それぞれの選挙人獲得数の合計を計算しています。これを見るとオバマがわずかに優勢ですね。イントレードは、これも踏まえた最終的な結果を予測したものと言えます。

まとめると、支持率はほぼ互角で拮抗しているものの、選挙人という変なシステムを経た最終段階ではオバマが若干優勢であり、その結果、約3分の2の確率でオバマ再選が予測されている…という状況ですね。さてさて、結果はいかに…??





*後日、上の選挙人獲得状況でリンクを貼ったReal Clear Politics は、非常に共和党寄りだったことがわかりました。つまり、支持率を共和党に有利に解釈する傾向があるということです。なので、FiveThirtyEight, Princeton Election Consortium, electoral-vote.com, VOTAMATIC, Pollster, Talking Points など、複数の結果を合わせて見る方が状況をより正確に把握できます。